家庭での子育てに参考になりそうな視点を、トピック形式で紹介していくコーナーです。


お子さんへの関わり方、あるいは自分自身を見つめ直すヒントになれば幸いです。 





・・・「こういうことについてヒントが欲しい。」といったリクエストがありましたら、ぜひご連絡ください。

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お子さんに,「ありがとう」と言っていますか? 

  子どもに「ありがとう」なんて言ったことがない。とりたてて言うようなこともない。と思った方もいるかもしれません。 
 では,旦那さんや奥さんに対しては,言ったことがありますか? 時々言っていますか? 
 普段,家の中では,「ありがとう」という言葉はあまり使われていないとしても,特に困ることはありませんからね。

 「ありがとう」は魔法の言葉とも言われています。
あなた自身が「ありがとう」と家族の誰かから言われたらどんな気持ちになりますか? 
もし,それが自分の子どもからだったら? 
何かくすぐったい感じがするかもしれませんが,いやな気持ちではないですよね。

 「うちでは,ありがとうの代わりに,できるだけほめるようにしています。」という方もいるかもしれません。
 誰でも「ほめられる」ことは嬉しいことです。いくつになっても,毎日,誰かにほめられていたいですよね。

 ただ,何かでほめられると,次は,それと同じことをしてもあまりほめられなくなっていくということもあります。
 最初にほめられたときより,もっと頑張らないと,同じようにはほめてもらえなくなり,段々それが当たり前になってしまって,あえてほめるようなことではなくなってしまったりとか。
 
 それと,「ほめる」は,その子の良い点を評価してあげることです。そうすると,子どもは自分の良いところだけを見せていたいと思うかもしれません。
 自分のダメなところはできるだけ見られないようにしてしまうかもしれません。
 ダメなところもある自分を丸々全部受け入れてはもらえないと思ってしまうかもしれません。
  完璧な人間なんていないのですから,ましてや子どもには良いところもダメなところも両方あるのが普通なのに,その本来の本当の自分でいることができなくなってしまうのです。
 
 なので,できれば,「ほめる」ことより,感謝の言葉をなげかけるほうがよいのです。

とりわけ,子どもに対しては。


 子どもは,なぜ「ありがとう」と言われたいのでしょうか?
 自分のことを認めてもらいたいからです。自分は存在していてい良い,価値ある・意味ある存在なのだと思えるために。
 このお母さんの子どもでいて良いのだ」と思えるために。
  そして,何よりもお母さんに,「ありがとう」と言える『素敵なママ』になってほしいからです。
 

 どんなときに,「ありがとう」って言えばよいのでしょうか? 
 それは,いつでも,どんなときにも,それを言うチャンスはいっぱいあります。
  朝,ちゃんと起きれたら,「ありがとう!」(だって,起きてこなかったら大変ですよね。) 
  ご飯を食べてくれたら,「ありがとう!」(食べずに元気がなくなったら困りますよね) 
  学校に行ってくれたら「ありがとう!」 
  学校からちゃんと帰ってきてくれたら「ありがとう」 
  病気にならずに今日も元気でいてくれたらそれだけで「ありがとう」


  マイナスがなければ,それだけでありがたい(余計な心配・手助けをしないで済むのですから)ということです!
 「いつも・・・してくれてありがとう」 
 「(いつもと違って今日は)・・・をしてくれてありがとう」

 気がつけば,目の前のいろいろなことの中に,「ありがとう」と言える材料があることが分かるでしょう。


子育てのヒント  


 

  「がんばる」ことと「がんばりすぎること」 


 子どもは,「頑張りたい」と基本的に思っているものです。
 それは,前より成長した自分を感じたいからです。
頑張って,前にはできなかったことができるようになった自分を感じて,自分で自分をほめてあげることで,自分のことが好きになり,「自信」を身につけていくのです。 

誰かにほめられたくて頑張るのではありません。
もちろん,誰かにほめてもらえば嬉しいですが,ほめられるために頑張っていると,自分自身に対する「自信」を身につけることが難しくなります。
大切なのは,誰かにほめられるかどうかに関係なく,自分でそうしたいから,自分が成長したいから頑張るという姿勢なのです。 


子どもの成長を願う親は,ついつい「頑張れ!もっと頑張れ」と言いがちです。
子どものほうも,親の期待に応えたくて一生懸命頑張ろうとします。ところが,何気ない「頑張れ」の言葉や期待が,子どもにとってはプレッシャーになってしまう場合もあるものです。
それがこじれると,心の問題として様々な身体症状や対人トラブルの原因になっていくこともあります。

「頑張りすぎ」は心のエネルギーを消耗しかねないからです。 



そして,時代(風の時代)は、これまでのように、「頑張ることが大切!頑張らなければ幸せになれない!」という考え方は必ずしも必要としなくなっています。 
 
お父さんお母さんから見て,子どもが「頑張りすぎている」ように思えた場合は,「頑張りすぎないようにやろうね」と声をかけてあげましょう。
ちなみに,「そんなに頑張らなくてもいいんだよ」という言い方は,「頑張りたい」とか「頑張る方がお父さん・お母さんに喜んでもらえる」と思っている子どもにとっては,あまり意味がありません。 

 



『お母さん 喜んでくれるかな』

 「お母さん 喜んでくれるかな」は、ある子がぽつんと言った言葉です。「○○したら お母さん 喜んでくれるかな」という言い方だったような気がします。子どもは、こんなにもお母さんを喜ばせたいと思っているのだなと改めて痛感させられたものです。
 子どもは、どの子もお母さんのことが大好きです。怒ってばかりのお母さんでも、家事が苦手なお母さんでも、自分のことをあまり構ってくれないお母さんでも大好きです。お父さんに対しては、父親の方がよほど努力して良い関係を築いていないと大好きとまではいきません。関わり方が下手だからと嫌いと思われている場合もあります。それに引き換え、お母さんを嫌いという子どもはいないものです。
この違いは、どこから来るのでしょう。生まれてくるまで、お母さんのおなかの中で共同生活をしていたからなのか、生まれて初めて見た人がお母さんだったからなのか、お母さんにおっぱいをもらわないと生きていけないからなのか、理由はよくわかりませんが、子どもはお母さんが大好きです。子どもはお母さんを幸せにしたくて生まれてくるという話を聞いたこともあります。
 
人には、もともと『人を喜ばせたい』という側面があると言われています。自分が利益を得ることがうれしいだけでなく、自分のしたことで他者(とりわけ身近な人)が喜んでくれるのも、またうれしいのです。親がおいしいものを子どもに食べさせたり、好きなおもちゃを買い与えたりするのは子どもの喜ぶ顔が見たいからです。子どもが、自分の世話をしてくれる、自分を喜ばせてくれる親を自分も喜ばせたいと思うのは当然かもしれません。
こうして、『大好きなお母さんを喜ばせたい』と、子どもたちは、日々頑張っているのです。自分の大好きな人に喜んでもらいたい、自分のことも大好きになってもらいたい。この気持ちは、どんな子どもの中にもあるものです。それなのに世の中のお母さんは、この子どもの気持ちにどれだけ向き合えているでしょうか。
 
そして、子どもは、お母さんだけではなく、自分のまわりのたくさんの大人に喜んでほしいと思っています。うまくできるようになったことはもちろんですが、できて当たり前に思えるようなことも、うまくいかなくてもがんばっていることも喜んでほしいのです。
「お母さん喜んでくれるかな。」という言葉の中には、そんな子どもの熱い思いが込められているように思えます。子どもの周りの大人が、子どものこの思いを受け取り、子どもの成長を喜び、見守ることができれば子どもは前へ進むことができるのでしょう。そのために、どんな言葉をかければいいのか、どう喜んであげればいいのかを考えてみると良いかもしれませんね。
 


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 最近,お子さんにイライラしてしまったことはありませんか?

「子どもにイライラしてしまう」という親御さんは結構たくさんいます。
イライラは親御さんが普段頑張り過ぎている証拠なんです。
何かイライラしている自分,子どものことでついイライラしがちな自分に気づいたら,いったん頑張るのをやめてみると良いようです。 


  子育ては,子どもが「幸せになる」ようにすることではなく,どんなときでも「幸せでいられる」人にすることだと言われます。
 子どもに教えるべきことは,間違わないようにすることや,間違わないようにするための方法ではなく,間違ったときにどうすれば良いか,その適切な対処方法であるということです。
何よりも自分が間違ったことに自分で気づけることと,その後の適切な対処方法(失敗や間違いを繰り返さずに済む方法)を学んでいくことが大切になるでしょう。
一方的に叱ったり説教しても,子どもがそういう気持ちになれなければ,これから「幸せでいられる」方法を身につけることはできません。 
 
 
  世の中には,知らないうちに子どもを「傷つけ」てしまっている親が時々います。
そういう親に育てられて,たくさんの「傷つき」を体験してきた子どもは,安全基地をどこにも見つけだせず,自己満足的な一時的な逃げ場を持ち続けようとします。特に学校生活においては,他者との関係において,自分がそれ以上傷つかないようにしようとして,あるいは傷ついている自分を見透かされて馬鹿にされたくないとの思いから,先手を打って逆に相手を傷つける言動に向かってしまうこともあります。
もちろん,自分では,自分がそんなに傷ついていることも,自分が相手を傷つけるようなことをしていることも,ほとんど気がついていません。そうせざるを得ない心の奥の声にただ従っているだけなので,注意されてもなぜ自分が注意されるのかが理解できず,自分の行動を振り返って(内省して)反省することができないばかりでなく,注意されたことが再び傷つけられたという体験となって,更に周りに対してガードを固めて身構えていくことになる場合もあります。 


 「子育てに正解はない」とはよく言われることですが,「正解はないが,不正解はある」のです。
福祉や教育の世界で言う「ミス・トリートメント」(間違った接し方,扱い)というのがあります。
 例えば,暴力,暴言,子どもを萎縮させること,誰かと比較するなどして傷つけることなどです。
万が一そういうことがあったとすれば,それは親自身の心の風船がパンパンになりすぎているせいかもしれませんね。 

 

親の不安やイライラは子どもに伝わる
そして、親の不安やイ ライラが「子どもの自己肯定感」を低くする


 たとえば、よくあるのは、努力して良い点を取っても、「なんで100点取れないの?」と叱られ、100点を取れない自分はダメなんだ、努力は報われないんだなどの思い込みをつくります。 
条件づけでしか愛されない経験を通して、「いつでも頑張って良い結果を出さないとダメなんだ」「ありのままの自分ではダメなんだ」と思い込んでしまい、頑張って結果を出さなければ親に認めてもらえないと思う子どもになっていくのです。

子どもへの不安は自分事という視点で考えないと解決できない問題です。 
子どもが幸せになってほしいのですから、そのためにどのように考え行動していくのか。子どもがやる気を出すには何をしたらいいのかなど、立ち止まって考える必要があるのです。 今までと同じやり方をしても同じ結果が続くだけです。
自分が変えられることはないのか、将来の子どもの笑顔のために何ができるのか、じっくりと考えてみましょう。

そのときに大切になるのは、これです。
・子どもを認めて受容することの大切さに気づいて、子どもとの信頼関係を築くこと。
・まずは自分を認めてあげることの大切さを再確認すること。
 
『自己肯定感が低くてなにが悪いの?』って思いますか?
ありのままの自分を認めて軽やかに生きることこそが大切なのです。
人と比べてどうとか、人にどう思われるかが大事なんじゃない。自分が満足できる自分でいられれば、それでいいやって。
スパッと気持ちを切り替えて、今の自分がやれることをやることです。
 

ある人の言葉です。
「自分を否定してしまう感情は、悪いものじゃないよ。ただ、いつまでも人と自分を比べていたら、自分を否定する気持ちが他人へのねたみや憎しみに変わっていくこともあるじゃない? その時間がもったいないし、なによりそんな毎日楽しくない。私は、人生の最後に『楽しかった!』って言える人生を送りたいの。そのためにも、スパッと気持ちをきり替えて、これからも自分にできることをやっていこうと思ってる。大切なのは、どんな自分でいたいのか、自分にとって大切なものはなにかを見きわめること。」


『褒める』より『認める』ことが大切

 子どもは褒められることが好きですが、子どもの健全な成長に最も必要なのは自分のことを「認めてもらえた」という体験です。
 「自己肯定感」という言葉をお聞きになったことがあると思います。自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定する感覚」のことです。他者と比較することなく、自分自身が「今の自分」を認め尊重することで生まれる感覚であり、物事を前に進めるための原動力となります。

自己肯定感が高い子どもの特徴は、
①主体性がある、
②自分に自信があり、行動や思考が前向き、
③失敗を恐れない、などです。

逆に、自己肯定感が低い子どもは、
①何かと他者と比較しがちで、自己嫌悪に陥ってしまったり、嫉妬や劣等感で苦しみやすい、
②自分で「自分のこと」を認められないために、他者に認めてもらうことで自分の価値を確かめようとしがち、
③過去の失敗経験や自尊心を傷つけられた経験が原因になっている場合も少なくない、など


「自分を信じること」の第一歩は、「自分を認めること」「ありのままの自分を受け入れること」です。そのためには、何よりも家庭で「自分のことを認められる体験」や「ありのままの自分を受け入れてもらえているという安心感」を持たせていくことが大切なのです。


参考までに、「褒め方」と「叱り方」のコツを再確認しておきます。
褒めるときは、
①    褒めるときは後回しにせずその場ですぐ褒める 
②    顔を見て、名前を呼んで褒める
③ 具体的にほめる(増えてほしい望ましい行動を言葉で言う) 
叱るときは、
①    今のことだけを言う(「この前も・・・」「いつも・・・」などとは言わない)
②    話を広げない(叱らなくてもいいことまで言わない)
③ そのことで子どもを否定しない(「ダメな子」「悪い子」などと言わない)
 

褒められること自体が目的になって、褒めてもらうために頑張るとなってしまうと、期待どおり(褒め量やタイミングも)に褒めてもらえないと感じると頑張ることをしなくなりかねません。また、叱られても自己肯定感を下げずに済むのは、自分が「認められている」という安心感が基盤にあればこそです。

良いところも少しダメなところも全部ひっくるめて、「そのままの自分でいいのだ」と思えることがとても大切なのです。「そのままのあなたが好きだよ」と、その子のありのままを受け入れて認めてあげることで、子どもは自分のことが大好きになっていくのです。

ぜひ、「あなたのことが大好きだよ」とか「あなたが生まれてきてくれて本当に嬉しいよ」など、一日一回は肯定的な声掛けをしてあげましょう。


 心のエネルギーの充電


 家庭 = 充電(エネルギーチャージ)の場です。
 家庭で充電してこそ,学校・社会で安心して過ごせるというものです。
学校・社会では否応なしに電力を消耗すしますから、家庭の外で適切かつ安心して使えるだけの電力をいつも蓄えておく必要があります。

 家庭で充電されないまま学校に行くと,どうなるでしょうか? 想像してみてください。

ましてや,家庭で放電してしまっている場合は,どこで充電すればよいのでしょうか?

 気がかりなのは、親の方が子どもに充電してもらおうとしている場合がある!ということです。親自身のさまざまな不安をまぎらわすために子どもを利用してしまうのは、子どもにとってはとても苦しいことです。「お母さんのためなら」とか「お母さんがそれで喜んでくれるなら自分は我慢する」と思っている子どももいますが、それが日常化・長期化してしまうと、子どもの方は自力では回復できないくらい新進的に疲弊してしまうので、親の方が早く気づいて改善していってほしいものです。

 
何かいつもなら自分からいろいろ話してきたり、質問にもちゃんと答えるのに、今日は(最近は)ちょっと違うなあと思ったときは、無理に聞き出そうとはせず、何か言葉でうまく自分の気持ちを伝えられずにいるそのときの子どものモヤモヤした気分を、黙ってそっと感じ取ってあげましょう。「ふーん、そっかあ。いろいろ大変だけど頑張ってるんだね!」と一言添えながら、ギュッと抱きしめてあげるだけで良いのです。

 
詩集「おかあさん」(2013年発行)の中に,大阪の小学校1年生のこんな作品がありました。題は「おかあさんはじゅうでんき」
おかあさんはわたしのじゅうでんき
わたしのでんちがなくなると
おかあさんがむぎゅっとしてくれる
するとこころがつながって
ぽかぽかちからがわいてくる
ときどきおかあさんのでんちがきれると
こんどはわたしがじゅうでんき
おかあさんにむぎゅってしてあげる
おかあさんは「じゅうでんかんりょう」とうごきだす
おかあさんいつもげんきをありがとう

 
「私は1学期の終わり,母に「学校に行きたくない」と言いました。母は何も聞かず,ただ抱きしめてくれました。私は抱きしめられ,ぬくもりを感じ,安心して涙がこぼれました。母は「学校に行きたくないのなら,行かなくていい」「今はゆっくり休んだ方がいい」と言ってくれました。母の言葉で,私はとても楽になりました。頑張り過ぎてもいつか限界はくる,だから,息抜きも必要なんだ,と言われたような気がしました。(コロナ禍で短縮授業や分散登校があり,学校に行く時間が減って心が楽になった,という人がいます。私にもその思いはよく分かります。)私は気持ちを切り替えて学校に行っています。学校が全てではないけれど,頑張ることも大事だと思うからです。きつくなったら,また母に相談して,頑張りすぎない程度にゆっくりとやっていこうと思います。」
(こちらは、新聞の読者投稿欄に載っていた14歳中学生によるものです。)



(2023.9.26)

子どもにとっての「満たされ感」

 

 それは、何よりも、「愛されている」,「必要とされている」,「自分はいてもよい存在だと思える」ことです。
それを,必要なとき(求めたとき)には確実に確認できるという安心感が必要なのです。
大切なのは「構ってあげる」ことです。つまり、子どもが求めているのは,構ってもらうことなんです。

 では、「構う」とは何をすることでしょうか? どうすれば,構ってもらえた,と思えるのでしょうか?

 その一つは、子どもの話を「聞いている」か 「聞こうとしている」かということです。案外、子どもの話をきちんと聞いてあげられていない場合が多いものです。子どもが、家庭や学校で人の話をちゃんと聞かない、聞いていないということがもしあるとすれば、それは親がきちんと子どもの話を聞いてあげていないか証拠です。

 一方、声をかけてみても、子どものほうが話したがらずにいるという場合は、心配かけたくないとか自分の気持ちが整理できずにいて、今は少し一人にしておいてほしい、構ってほしくないと思っていることもあります。そんなときは、黙って見守ってあげることが大切ですが、ただ放っておくのではなく、時々ちょっと声をかけてあげることが大切です。返事がなくても、無理に詮索したり深入りしようとせずに、もうしばらく様子を見てあげましょう。子どものほうは、きちんと話ができなくても、心配してもらえている,独りぼっちではないとの実感を持てるはずなので、それが本人の支えとなり、また元気を取り戻していく原動力になるのです。

人は、誰でも、満たされていない自分を感じると,ストレスになるものです。何が満たされていないのか、何を求めているのか、それさえもよく分からずにいる場合も少なくないものです。大人だってそうなのですから、子どもはそんなときがあっても不思議ではありません。
 

人は、
満たされないと,不満ではなく,不安を感じるのです。それは、「自分は愛されるに値しない人間なのでは」との不安だったり,「自分が自分でいられない」不安,「自分に自信が持てず先が見えない」不安だったりします。このとき、「そんなことないよ」とか「そんなこと心配しなくていいよ」と言ってあげてもあまり効果はありません。「そんなことを考えたり心配になっている自分はダメな子だ」なんて逆に自分に自信をなくしてしまう可能性さえあります。
こんなとき、最も大事なこと、子どもの不安を適切に解消させていく
基盤となるのは,実は親自身の「満たされ感」なのです。
子どもが不安になっているときこそ、親自身がいま一度自分を見つめ直す絶好の機会なのです。

 


 子どもの「やる気」を引き出す


やる気を引き出したいのであれば、まずは、子どものやる気を下げる親の言動を減らしていくことを意識することが大切です。
 
たとえば、 


①子どもがやりたいことを親が代わりにやってしまわない

②やらない時は叱られるのにやった時は何も言ってもらえない

③バツを付けられる ・・・子どもが解いた問題を親が丸付けする時は、必ず正解に○をつけ、不正解には×を付けないようにしていきましょう

④一言目がネガティブ ・・・子どもがなにか頑張ったことや良い結果を報告してきた時に、疑うように「本当に?」と言ったり「そんなわけないでしょ」と反射的に言ってしまう

⑤日頃から結果ばかり褒めすぎている 結果より過程に対して声をかける

⑥口出しし過ぎている 



目の前の子どもをやる気にさせようと思ったら、口を出したり、手を出したりあれやこれやアプローチをするしかありませんよね。『今すぐ』を求めるとどうしても口を出さざるを得なくなりますが、そうするほど子どものやる気は無くなっていくものです。 



やる気は自らのきっかけで見つける 

やる気は言葉で出すものではなく姿で感じさせるもの 

親が頑張っている(何か目標に向かって努力している)姿を見せることも大切 





家の手伝い

子どもに家の手伝いをさせていますか? 

家の手伝いは、「してもらう」のではなく、「させてあげる」 ものなのです。
親が少し楽をするために子どもに手伝いをさせるのではありません。
手伝いをすることを通じて学んだり成長していく子どもの姿こそが重要なのであって、そこに「家のお手伝い」ならではの大きな意味合いがあるのです。
 手伝ってもらったら、当たり前のことと思うのではなく、「ありがとう」「助かったよ」と声を掛けてあげましょう。

これは、「人の役に立つ感覚を育てる」という、とても大切なものなのです。
毎日の生活の中で、何か家の仕事を子どもにさせていますか。いわゆるお手伝いでも
いいのですが、できれば子どもに何か家の仕事を任せてみませんか。
 
子どもたちは学校等で、日直や給食当番・清掃当番、加えて係活動とそれぞれ仕事を分担し、クラスの一員としての仕事をしています。高学年になれば、委員会活動など学校の仕事も任されています。
例えば、運動会では前日準備から当日の運営に関わる仕事まで、子どもたちの力がなければ進めることはできません。
子どもたちは、すごい力を発揮することができる存在なのです。卒業していく時には、低学年の子からたくさんの感謝をもらってうれしそうに卒業していきます。
 

 『みんなの役に立っている』というこの感覚が「自己有用感」とよばれるものです。
 「自分はこの集団や組織にとって、役にたつ存在なんだ。自分は人の役にたつことができる、価値のある存在なんだ。」と思えることは、人生を生きていく土台となるとても重要な感覚です。
学校だけでなく、家でもこの感覚を育てていきましょう。
 
 そのためには、〈手伝う〉というより家事の一部を責任をもって引き受けさせることが大事です。
代わりにやる人はいないという状況がいいです。
家事は、なかなか引き受けてくれないようだったら〈家族を楽しませることをする〉なんていうことをしてもらってもいいかもしれません。

まずは「あなたが○○をしてくれると助かる。」という思いで、お願いしてみましょう。
この時、「○○をしなさい。」「これぐらいはできるよね。」といった命令口調にならないように注意してください。「頼りにしているよ。」という感じが大切です。
 そして、必ず「ありがとう」「助かった」「うれしい」の気持ちは言葉にして伝えましょう。お家の人に認めてもらった満足感の積み重ねが自信につながっていきます。
 
 「自己有用感」が高まれば、いろいろなことにチャレンジする勇気もわいてくることでしょう。「勉強しなさい」を連呼しているより、ずっと効果的です。

 
そして、手伝いをしてもらうことのもっと大切な意味は、子どもが親にとって頼りになる存在であることを具体的な形で伝えていくことができることです。
子どもにとって親から「頼りにされている」と感じられることは、自分が誰かの、しかも自分にとって一番大切な人の役に立つことができるという気持ちを持てることであり、これが自己肯定感を育んでいくのです。
ですから、親としてはいろんな形で子どもを頼りにしてあげると良いのです。
ただし、手伝いを、家族としての「義務」だとか「お仕着せ(少しくらい手伝ってくれてもいいでしょう!と言うなど)」と考えてしまうと、全く別の意味合いになってしまうので、無理強いは禁物です。
あくまで、お願い口調で協力を求めることが大切です。
このときは、「・・・してくれないかなあ。」という言い方よりは、「・・・してもらえると嬉しい(すごく助かる)んだけど、どうかな?」といった「私メッセージ」にするほうが効果的です。




「親の思いの伝え方」


『親の心、子知らず』ということわざがあります。
「子どもは親の気持ちに気付くことなく、勝手な行動をするもの」「親になってはじめて、親の気持ちに気づくもの」といった意味あいで使われています。
ことわざになっているくらいですから、昔から、親の思いというものは子どもにはなかなか伝わりにくいものなのでしょう。
 
子どもにしてみれば「言葉で言ってくれなきゃわかんないよ。」ということなの親の気持ちや思いは、その都度言葉で伝えるようにしましょう。

 例えば、
 がんばっている時は、「さすがだね。すごいよ。感動したよ。」

 励ましたい時は、「大丈夫、きっとできるよ。応援しているからね。」

 物事を頼む時は、「○○してもらえるとうれしい。頼りにしているよ。」

 お手伝いをしてくれた時には、「ありがとう。助かったよ。」

 注意したいことがある時は、「○○をしているところはみたくないな。」, 「○○な人にはなって欲しくないな。」, 「ゲームばかりしていると心配になるよ。」

こんなちょっとしたことでも、言葉で伝えていくとお互いに気持ちが通じ合うものです。
直接言うのは照れくさいという方は、メモや手紙でもいいです。
 

そして、子どもとの関係が良くなってくるとこちらから伝えたいことも増えてきます。
どうしても伝えておきたいもっと大きなこと(人生観や価値観)は心を落ち着けて、言葉を選んで伝えていきましょう。
 
また、子どもに思いを伝える時は、指示命令にならないよう気をつけましょう。
特に小学校高学年になると、自分でもなんとかしようと思っていることを親から言われると、反発からわざと反対のことをしたくなるものです。

そうならないためには、一呼吸して心を落ち着けて

①    子どもの『心のつぶやき』を考えてみましょう。

②    伝えたいことを整理しましょう。何を心配しているのかも一緒に伝えたいです。

③    子どもが受け取りやすい言葉を吟味して選びましょう。


 「親は子どもを愛しているのに、子どもにうまく伝わっていない。」とならないために、人生の先輩である親の方が少し冷静になって、子どもの『心のつぶやき』をキャッチしてあげましょう。
まずは、そこからです。
伝えたいことを伝えたら、あとは子どもの成長を見守りましょう。
同じことをしつこく繰り返すのは避けましょう。
 

ただし、やってはいけない行動は毅然とした態度で止めることも大切です。

 


「やる気を育てる言葉かけをしよう」


子どもを『ほめて育てよう』ということがしばし言われていて、実践している方も多いかと思いますが、これがなかなかむずかしいです。
子どもの良いところをみつければいいのだということは分かっているけど、悪いところばかりが目に付いて、どうほめればいいのかわからないという場合も少なくなさそうです。
一方、ほめられるからやる、ごほうびがもらえるからやるでは、やる気は出るか もしれませんが、自分から進んで課題に取り組む子にはなりません。

そこで「子どもが、がんばっていることを認める」と考えてみましょう。

まず、毎日同じように通学できたことを当たり前と思わず、きちんと認めてあげましょう。
「今日は行きたくないな。」「友だちと気まずいことがあったから休みたいな。」
と思った日もあったかもしれません。それでも、がんばって学校へ向かったのです。

毎日学校に通うことは、子どもにとって大人が思うほど簡単なことではないのです。
お子さんが不登校になってみて、このことにはじめて気付かれる保護者の方も多いです。
大人ができて当たり前と思っていることが、子どもにしてみたら、その子なりにかなりの努力をしているのです。

次に、子どもたちの生活全般にも目を向けてみましょう。
『挨拶ができる』『お友だちと仲良くできる』『宿題をやる』『年下の子に優しい』『お手伝いをする』など探していくと必ずできていることがあるはずです。
できていることは言葉にして伝えてあげましょう。
できていないことを指摘するより、ずっと効果的です。

 さらに、本人も気づいていないような「すごいところ」を探してあげましょう。
 『○○のことに詳しい』『○○が得意』『○○が大好き』『頑張り屋さん』『まじめ』 『正直』『いつも○○をしてくれる』など、こちらも探すとたくさんみつかるはずです。
 本人もなんとなく得意かもと思っていることをお家の人も認めてくれていることがわかるとうれしいものです。
 日常のちょっとした言葉かけの積み重ねがやる気につながっていきます。
 

 それでも、もしうまくいかないことに直面して元気がない様子の時は、
「大好きなあなたのことをいつも応援しているよ。」という思いを子どもに伝えていきましょう。
その思いさえ伝わっていれば、自信を取り戻して、また前を向けるようになります。
 
 
親は、子どものファン第1号で応援団長です。

大事なのは、『自分には強い味方がいる』と思えているかどうかです。


 「いいとこ探しをお手伝いします!」



 お子さんについて、下の( )の中にあてはまる言葉を入れてみましょう。
 ⑧⑨⑩・・・は自由にどうぞ。

 ①    わが子は( _____________________________)が得意です。  
②    わが子は(____________________________ )す るのが上手です。 
 ③    わが子は( ____________________________)にくわしいです。  
④    わが子は( ___________________________)をがんばっています。 
 ⑤    わが子は( __________________________)をして偉いと思います。 
 ⑥    私はわが子の( __________________________)が大好きです。  
⑦    わが子が( _______________________)をしてくれて感謝しています。  
⑧    わが子は( _____________________________)
⑨    わが子は(_____________________________ )  
⑩    わが子は( _____________________________ )
     
 
*ピッタリの言葉がみつかりましたか?

みつけた《いいとこ》は、言葉にして子どもに伝えていきましょう。
お家の人が、「自分のことを理解してくれていること」が伝わり、子どもに元気を与えることができます・

 


わが子を「いい子」にしたがる親

 「いい子」って何でしょう?どういう子どもが「いい子」と言えるのでしょうか?

他人に迷惑を掛けない子、親の言うことをちゃんと聞く子、言われなくても勉強や宿題をするる、・・・ 
へんな子になったら困るというとき、それは「みんなと同じような、普通の人」を意味したりします。
 何らかの「お手本」みたいなものがあって、たとえば親自身が子どもの手本となっていかなくてはならない、とか 「いい子」じゃないと「ちゃんとした大人」になれないとか、世の中の一般的な姿が一番望ましい子どものあるべき姿であると考えがちです。

 本当にそうでしょうか?? 
「ちゃんとした大人」って何でしょう? 
社会の変化、時代の変化、置かれている環境や文化などによって、望ましい形・適切な状態というのは異なります。
「みんなと同じに」というのは、 わが子を誰かほかの人のコピーにしてしまことにはならないのでしょうか。
 
唯一無二のわが子の「個性」はどうなってしまうのでしょうか。
 かけがえのないわが子の無限の可能性や、磨かれる前の素晴らしい輝きにこそ、その子の本来の姿、その子が生まれてきた意味があるのではないでしょうか。

 子どもにとっては、「自分は自分なのに、どうして『いい子』とかいうよく分からない人にしようとするの?『自分自身』であることをやめて『いい子』にならなくてはダメなの?」という困惑がつきまとうことにもなりかねないのです。


親自身が、一度、改めて考えてみると良いように思います。


 
  子どもの健全な成長には、ある程度のフラストレーション(☜ 欲求不満状態)が必要です。

フラストレーションを何も感じないような環境では、そうした技術は必要がないので身に付きません。 
しかし、そのまま成長してしまうと、自制のきかない、自己中心的で、わがままな人間になってしまうおそれがあります。 

  人生とは、なかなか望みどおりにはいかないものです。
つまり、欲求不満に対峙したときに、それを受け入れられる心を育てること、
困難な状況にも果敢に立ち向かうことができるように子どもに教えてあげることが大切です。
 子どもにしっかりと教えておけば、将来、多くのトラブルから我が子を守ることができるでしょう。 

  不快な気持ちやストレスの多い状況に耐える力を養うのは容易ではありません。
  フラストレーションに対する寛容性が未成熟な人は、直面した困難を早く解決しようとする傾向があります。 
  つまり、問題を簡単に、迅速に解決しようとしてしまうのです。
  解決策を見い出せなければ、人は強い不快感や不安を感じてしまいます。 

  フラストレーションに対する耐性がなければ、チャレンジを避ける傾向にあります。
また、不安と不満を生み出す負のループになりかねません。 


子育てで大切な事

お子さんの子育てや家庭での教育で,一番大切にしていることは何ですか?

多くのお母さんたち・お父さんたちは「大人になってから困らないようにすること」と答えます。
そのとおりだと思います。
では,「困らないように」というときの,予想される「困ること」とは何でしょう?
 
お金がないこと,

周りの人とうまく関われないこと,

人に迷惑をかけること,

心や体の病気にならないことなどが考えられるでしょうか?


今の社会の中で生きていくとき,困ることというのは結構たくさんありそうですよね。
一昔前と比べても,ストレス状況にさらされることが非常に増えている時代です。
あらかじめ予想されるものに対しては今のうちに対策を取っておくというのも大切かもしれませんが,どれだけ準備万端に対策を整えても,予想外の困ったことというのは起きてしまうものです。
そんなときに,必要以上に困らないようにするためには,その出来事を上手に,そして適切に解決して乗り越えていく力が欠かせません。


そう考えてみると,今,子どもたちにとって大切なのは,
大人になってから困ったことが起こらないようにしておくことというよりは,
困ったことが起きたときにきちんとそれを解決・克服していけるだけの「心の持ち方」を身につけさせておくことかもしれません。
それは,「心の強さ」という言い方ができるかもしれません。
それでなくても,最近の子どもたちはメンタルが弱いと指摘されることがしばしばあるだけに,メンタル(精神的強さ)を鍛えていくことが大事になりそうです。


 だとすると,子どもたちのメンタルを強くしていくために必要なこと,家庭での大切なこととは何でしょうか?
昔のような精神論では難しくなっていますよね。



それは何よりも、お母さん・お父さん自身のメンタルの強さ(心の強さ)なのです。

お母さんやお父さん自身が普段感じている不安や悩み、そして子どものことで心配な事、不安な事
これは、子どもにそのまま伝わってしまいます。
言葉で言われなくても、子どもはそういう気持ちを読み取ってしまうのです。

幼稚園や小学校低学年のときに、幼稚園や学校に行きたがらないことで心配になるお母さんたちが時々いますが、
これも、実はお母さんの心配や不安を子どもが感じ取ってしまって、
何だか行きたくない気持ちや体調不良になったりしていることが非常に多いのです。

また、心配性な子とか神経質な子というのも、
結局はお母さん自身がそうだからという場合がとても多いのです。

たとえ何があっても、子どもに何か問題が生じても、
親の方がどっしりと構えて、強いメンタルでその成り行きを見守ることができれば、
問題は自然に解消していく場合が多いのです。


今の時代のお母さんやお父さんたちの多くは、
心の中にいろいろな不安定さを抱えていて、日々自分自身の不安に振り回されていることが多いように感じます。

子育てをしていく中で、子どもの心の強さを育んでいくことを大切にするとともに、
ぜひとも親自身の心の強さを改めて点検してパワーアップしていくことをお勧めします。



  (2024.5.17)

‐ 「毒親」について


 毒親とは、子どもを支配したり、傷つけたり、ネグレクトしたりして子どもの健全な成長にとって「毒」になっている親のことを一般的に言っています。 
 
 

毒親のタイプ 

 ・過干渉型 
 ・過保護型 
 ・支配・管理型 
 ・罪悪感を植え付けるタイプ 
 
 

毒親になる原因、親自身が抱える問題点 

毒親は、なぜ子どもに悪影響を与える存在になってしまうのでしょうか。
それは、親自身が寂しさを抱えていることなど、精神的に自立しきれていないことが原因と考えられる場合が多いです。
つまり、親自身が、自分の親からそのような関りをされてきたという、毒親の悪循環的連鎖によることが多いのです。 
 
 

毒親チェックリスト 

①    子供を管理していないか?
 学校生活から友人関係、身につけるものや読むもの聴くもの食べるものまで、必要以上の厳しさで子どもを管理したり、習い事を渡り歩かせて子どもを振り回し、期待に沿わない場合は責めたりしていませんか?
 家ではいい子なのに、外での態度を先生から注意された。そんな子どもの様子の原因は、親の理想像から外れないよう、厳しくしつけられていることへの反動の可能性もあります。
  子どもは親に愛されたいとして「いい子」を目指しますが、親が望む「いい子」になれないとストレスを感じ、普段自分が受けている「命令」「指図」「禁止」を自分より弱い相手に向けて発散し、心のバランスをとろうとしかねません。不満の発散や、他者をおとしめることによる自尊感情の維持を狙うのです。

② 子どもを支配していないか?
  「だって、心配なのよ。あなた◯◯だから」「あなたは◯◯できないから」というのが口癖で、子
どもをいつまでも「できないまま」「心配なまま」に縛りつけます。
 「あなたはできない」と言われ、 心を折られる日々を育った子どもは、親の言葉を疑わず、自分には母親の手助けが必要なのだと信じます。これは「支配—被支配」の構図です。

 子どもが従順で、自分の期待に応えれば機嫌がよく、そうでなければ厳しい言葉で責め、何らかの
ペナルティを課す。子どもを怖がらせてでも言うことを聞かせようと命令や指図をする。
 子どもの好奇心は困ったことと捉え、子どもの興味や行動しようとすることに対し、あれはダメ、
これもダメ、触ってはダメと禁止する。無邪気な子どもらしさを容認できず、早くから大人のように
させたいと、監視の目を光らせるのも支配です。

③ 「あなたのため」と自分の考え・やり方を押し付けていないか?
 子どものためと言いながら、それは子どものためにではなく親自身のためにではありませんか?
子どもの人生を親が自らの自己実現に利用していることに無自覚で、親子の間でどこまでが自分の領域で、どこから先が相手の領域なのかを意識できていないということです。
  しっかりやりなさい!負けるな、頑張れ!と子どもを追い立てるのも、親の願望や期待、世間体といったものを押し付けて努力を強要していることの表れです。
子どものことを常に観察し、問題があれば直ちに干渉します。
一見、子ども可愛さにやっている行動に思えますが、その裏には親が期待どおりの子に育てたいという強い思いがあります。「私の子なのだからこうでなくちゃ」と型にはめようとしているのです。
その点で、「子どものためを思ってやっているようで、実は、自分のためでもある」ということであり、自分可愛さによる行動でもあるのです。

④ 過保護に必要以上のことをしてあげていないか?
 身の回りのことを「してあげる」ことで自分に依存させ、必要とされることで自己肯定感を得られる時間を長引かそうとするのは、過保護です。
  また、親離れと子離れは、子どもの成長に伴って少しずつ進んでいくものですが、親のほうが子離れできてないと過保護になりがちです。
  子どもが離れていくと、親としての自分が存在価値を失うという恐怖にとらわれて、子どもが親から自立しようとして自分の思いどおりにならなくなると、自分が被害者であるかのように振るまってしまうこともあります。
 自分を頼ってもらえなくなる寂しさにどう対処していくべきかは、親自身が自分で処理すべき問題なのです。

⑤ 精神的な一体感を求めて過干渉になっていないか?
 たとえば夫婦関係に不満があれば、子どもとの強い精神的なきずなによって寂しさを埋め合わせたい気持ちが強くなることもあるでしょう。
子どものために自分の人生を犠牲にしたという思いが強い人は、子どもとの生活になんとしても自分の生きがいを見い出したいと思ってしまうものです。

 密着した関係を求めすぎてしまうと、子どもがいずれ親を負担に感じたり、子どもの自立心が育たなくなることもあります。

⑥ 子どもに呪いの言葉をぶつけていないか?
 「あなたさえいなかったら」という台詞や、結婚への後悔や自分が生きられなかった人生といった悩みを、子どもにぶつけるのも呪いの言葉になりえます。
  特に、母と娘の関係において、娘は「母の期待に応えなければ」と頑張り続け、母の寂しさを埋めるために「パートナー」や「親友」の役割を担おうとします。
こうした娘の“やさしさ”は母の執着をエスカレートさせ、母娘双方の精神的自立を台無しにしてしまうのです。

⑦ 子どもを抑圧し罪悪感を植え付けていないか?
 いつまでも自分の庇護が必要な子どもであってほしいため、一人の自立した人間として子どもに向き合うのではなく、支配する親として君臨したいのです。
  たとえば、「やりたいことを我慢して、あなたを育ててきたのに」というのは、母の希望と違う進路を選んだときなどに出てきやすい言葉ですが、「人生を犠牲」にした母のために、子どもが母の希望に添って生きることが正しいのかは大いに疑問があります。
 
 
 周りから「毒親」のように見える場合でも、すべてが必ず「毒親」であるとは限りません。
そもそも明確な判断基準というのはないのです。
とはいえ、本物の毒親はいます。本物の毒親は、子どもに「毒親だ」なんて言葉を吐かせるようなことはしません。そして、子どもも、親が怖くて、毒親に向かって「毒親だ!」なんて言葉は言いません。
なので、「毒親だ」と子どもから言われるような親は、本物の毒親ではないということになります。

本物の毒親は、子どもをマインドコントロールしています。
本物の毒親は、子どもに恐怖心や罪悪感を植え付けています。 
 
 
 

 以下は、SNSで見かけた、毒親の問題に実際に携わってきた方々によるものです。参考までにポイントだけ紹介しておきます。

 
毒親の特徴
①     子どもの話を聞かない 
 私の方がつらかった、大変だったと自分の話にすり替えるか、「あんたが悪い」と子供を否定したり無視したりしてくる 

②     子どもの気持ちに気づかない。 
 自分のことで精いっぱいなため。逆に「なんでできないんだ、だからダメなんだ」と平気で子供を傷つける言葉を使ってしまう。 

③     自分の感情をコントロールするのが苦手 
 怒りやイライラを使って子どもをコントロールする 

④     自分の非を認めない。 
 何があっても自分が悪いと認めない。逆に、あなたが悪い、周りのせいだと、パートナーや子供のせいにして、家族の中も悪く、雰囲気もすごく悪くする。 


 ・・・ ( 心理カウンセラー かずき) 


 
 

毒親言葉 
①     子どもの存在を否定する言葉 
「あんたはダメな子ね」、「この役立たずが」 
➡ 自信をなくして、人間不信になる 

②     子どもの見た目を否定する言葉 
➡ 容姿にコンプレックスを抱えて無理なダイエットや整形を繰り返す 

③     実の子どもではないと匂わせる発言 
➡ 家庭内で孤独感を感じて、親も他人も頼れなくなる。 

④     兄弟差別や比較する言葉 
➡ 兄弟に憎しみを感じて、劣等感が強くなる。 

⑤     子どもの行動を否定する言葉 
「なんでそんなことするの!」「そのぐらいで泣くんじゃない! 」
➡ 自分の行動に不安を感じて、他人の意見を聞かないと行動できなくなる。 

⑥     子どもを恐怖へと陥れる言葉 
「言うこと聞かないと鬼が来る」、「変なおじさんに連れていかれるよ!」
➡ 自分の思いどおりに他人を操りたいときに、平気でうそをつくようになる。 


⑦     子どもに親の願望を押し付ける言葉 
 「そんなことをする子はお母さんの子じゃない」、「黙って言うことを聞きなさい」 
➡ 自分より弱い立場の人に同じような言葉を使う。 


⑧     子育てが負担だと強調する言葉 
「あんたのせいでお金がない」、「お前のためにお母さんこんなに無理してるのよ 」
➡ 人に迷惑をかけてはいけないと問題を一人で抱え込んでしまう。 


⑨     周囲と比較する言葉 
➡ 努力をしても無駄だと感じ、自分に価値がないと思い込んでしまう。 


⑩     ご褒美を与える言葉 
「これをしたら欲しい物を買ってあげる」、「テストでいい点とったら小遣いを上げてあげる」 
➡ 成果報酬をもらうことに目的を感じてしまうため、自分の成長のために努力をしなくなる。 



・毒親言葉を使う親は、子どもを自分の思いどおりに支配したいだけ。 

・毒親言葉を使われた子供は、自尊心を失ってしまい、人間関係でトラブルが生じやすくなったり、他人と自分を比較して生きづらさを抱えてしまう。 

・毒親言葉を幼少期に使われた被害者は、次に自分が加害者となって新たな被害者を生み出す。 

・毒親言葉の被害者と加害者は、自分が被害者にいることに苦しみを感じて加害者となり、自分を正当化するようになってしまう 

・・・ (毒親育ちの春奈先生) 
 
 

毒親に育てられた女性の特徴
①     他人と自分を比較して落ち込んでしまう 
 親から認められたり褒められた経験がない、あったとしても大きな成果を出せたときだけ(テストで100点取れたとか、親が希望する学校に受かったとか、親の希望どおりの結果を残したときだけ) 
 自由に生きている人を見ると、自分の生きづらさが余計に目立って落ち込んでしまう。 

②     他人が怖い 
 いつだって親の顔色をうかがって生きてきたので、社会に出ても他人の顔色をうかがってしまう。
 一人でいる方が楽だと思うが一人でいるのも嫌だ と思う。

③     依存しやすい 
 自分の心を満たせるものに執着して依存する 自分を受けれてくれる人がいることで自分の心が満たされる その人がいないと生きていけないと感じて、離れることを極端に怖がる。
 自分の心を満たすためならお金も使う(買い物依存、アルコールやギャンブルなど) 

④     人に嫌われたくない 
 親から嫌われてるのではないかなという不安を抱えながら生きてきた。
実際に親から嫌いだと言われてきた人もいる。
他人から裏切られることを極端に怖がってしまい、嫌われないように自分を偽って、嫌われることを避けようとする。 

⑤     自尊心が低い 
 幼少期に散々傷つけられてきたので、自分を傷ものだと思ってしまう。 


・・・ (毒親育ちの春奈先生) 

 

 

毒親に育てられた人がやってはいけないこと
①     かわいそうな親を救おうとすること 
 親自身がその人生を選んでいるのであり、子どもが親の人生を背負わなくてよい 

②     親の望む良い子になろうとすること 
 毒親ほど子供に理想を押し付けるので、親に合わせようとすると、自分を見失い、自分が分からなくなってしまう。自分のためを一番に考えてよい 

③     親がどう思うかを気にすること 
 大人になったら、親がどう思おうが自分で選んでよい 

④     親を赦そう、感謝しようとすること 
 感謝や許しの感情は、無理にしようとするのではなく湧いて出てくるものなので、自分の気持ちに嘘をついて無理に許そうとしなくてよい 


 ・・・(心理カウンセラー かずき) 

(2024.7.15)